研究活動レポート / 松村 浩由
松村浩由アソシエイトフェローらの研究成果がNature Communicationsに掲載されました
2023 / 07 / 13
2023 / 07 / 13
松村浩由アソシエイトフェローらの学術論文が2023 年 7 月 11 日(日本時間)に英国科学雑誌Nature Communicationsオンライン版に掲載されました。
本研究では、細菌が細胞分裂する際に中心的な役割を担うFtsZフィラメントの溶液構造及び人工結合タンパク質により安定化されたFtsZフィラメントからなる二重らせんの詳細な構造を明らかにしました。
病原性細菌に対する抗菌薬の開発が望まれる中、FtsZ というタンパク質は非常に多くの細菌に存在しその生育に必須であるため創薬ターゲットとして注目されてきました。本研究では、FtsZが細胞中心部に形成するFtsZフィラメントの構造について従来の解析方法では確認できなかった生体内の状態に近いと言われる溶液状態での構造の詳細を解析することに成功しました。本研究で得られた知見は、細胞分裂の理解と創薬への応用に繋がることが期待されます。
また、FtsZに特異的に結合する人口結合タンパク質モノボディを取得することに成功し、モノボディが細胞分裂を途中で止める作用があること、そしてFtsZのどの部分に結合するのかを明らかにしました。モノボディとFtsZを結合させることで、モノボディにより安定化されたFtsZフィラメントからなる二重らせん構造の詳細をクライオ電子顕微鏡を用いて高分解能で解析することが可能となりました。モノボディを用いた構造解析は他のタンパク質にも適用できるため、クライオ電子顕微鏡による構造解析の幅をより一層広げるとともに細胞分裂のより詳細なメカニズム解明へ研究を前進させる重要な発見です。
論文名 : Structures of a FtsZ single protofilament and a double-helical tube in complex with a monobody
著 者 : Junso Fujita, Hiroshi Amesaka, Takuya Yoshizawa, Kota Hibino, Natsuki Kamimura, Natsuko Kuroda, Takamoto Konishi, Yuki Kato, Mizuho Hara, Tsuyoshi Inoue, Keiichi Namba, Shun-ichi Tanaka & Hiroyoshi Matsumura
発表雑誌 : Nature Communication(2023)
掲載日 : 2023 年7月11日(火) 00:00(日本時間)
U R L : https://doi.org/10.1038/s41467-023-39807-5
プレスリリース:https://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=578573&f=.pdf