石水 毅

RARAアソシエイトフェロー

植物分子の機能と人への作用を解析する

植物分子の機能と人への作用を解析する

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FELLOW PROFILE

1993年大阪大学理学部卒業、1998年同大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。
日本学術振興会特別研究員(ペンシルバニア州立大学)、大阪大学大学院理学研究科助手等を経て、2012年立命館大学生命科学部准教授。2019年より同教授(現職)。

植物機能性分子の調製と医薬品・食品への利用

植物は必要に応じて多様な分子を作り出し、環境に適応しています。しかし、植物が作り出す分子のうち、多くの分子の機能が不明なままです。この研究は、植物分子の合成酵素を解析する手法を考案し、その酵素遺伝子を見出し、植物分子の生合成機構を明らかにするものです。これらの酵素遺伝子を利用すると、植物分子の機能を明らかにしたり、医薬品・食品に利用する研究を展開できるようになります。

 

植物の乾燥重量の8割は糖質化合物が占めます。植物の生存戦略の解明、植物の人への利用のために、植物糖質化合物の研究が必要です。糖質はDNAやタンパク質に比べて、未知領域が多く残されています。長年糖質や糖質関連酵素の研究をしてきた経験を活かして、植物の生存に不可欠な糖質化合物、人に作用する糖質化合物の研究しています。

 

植物分子の研究は、手段として遺伝子を用いて研究するのが常です。タンパク質である生合成酵素や糖質化合物そのものを用いて研究するのは成果が出るのに時間がかかるため、このような手段を用いた研究者は世界的に少ない状況です。しかし、この手段でしか得られない知見がありますので、この手段にこだわって、世界に先駆けた植物分子の生合成機構と機能に関する情報を発信するのが目標です。

 

セロリやパセリに多く含まれる糖質化合物アピインや漢方薬の有効成分の一つと考えられている糖質化合物ペクチンを研究対象としています。これらの糖質化合物を生合成する複数の酵素のうち、未知の酵素の解析方法を構築し、その遺伝子を同定することを目標にしています。外部機関の協力も得て、これらの糖質化合物の機能解析や生産方法の確立を進めています。

 

セロリやパセリが健康にいい、漢方薬が体の調子を整えるのに効くなど、今まで効果があると信じられてきた植物の人への作用に関する伝承は多くあります。本研究の成果はこれらの伝承を分子レベルで説明する科学的基盤を与え、人類の生活のQOLを上げることになります。

 

―― パートナーシップについて
私の専門が糖質・酵素分野なので、それ以外を専門とする方々とパートナーシップを組みたいと思います。立命館大学内では、各技術(化学合成やタンパク質立体構造解析など)のスペシャリストと共に研究を進展させます。また、植物ゲノム編集体の作成や人の代謝産物の解析に長けているベンチャー企業との共同研究を始めています。

 

―― 研究連携で大切にしていること
お互いの技術を提供し合い、相互にメリットがあることを大切にしています。違う考え方を持つ相手とお互いの情報交換を密にして都度ブレインストーミングをすることが研究を進展するきっかけになったことをいくつか経験しているためです。

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