研究活動レポート / 桜井 良
桜井良アソシエイトフェローらの論文が国際学術雑誌Ecology and Societyに掲載されました
2024 / 06 / 07
2024 / 06 / 07
桜井良アソシエイトフェローらの研究成果 “Developing a system model for articulating the social-ecological impacts of species reintroduction”が国際学術雑誌Ecology and Societyに掲載されました。
生物多様性の保全及び再生は昨今、国際的に重要なゴールとして位置づけられています。本研究では、一度絶滅した種を再導入することが社会生態系に与える影響を、システムダイナミクスのアプローチを用い、明らかにしました。国内ですでに再導入されたコウノトリ及びまだ再導入されていないオオカミを対象に、世界中で行われてきた種の再導入に関する研究成果をもとに、想定されるシナリオをループ図で描きました。
結果、環境教育を通して、人々は生物多様性に関する理解を深め、絶滅した種の再導入に肯定的な態度になること、人々の態度が実際の再導入政策にも影響を与えること、さらにひとたび種が再導入されると生物多様性の量と質が高まるなど生態系にも変化が起きることが示唆されました。一方で、再導入されたオオカミが家畜に被害を及ぼす可能性もあり、人間との軋轢が増加するとともに、人々のオオカミや再導入政策への態度が否定的になり、ループ全体に負の影響をもたらすことも示されました。
本研究の成果は、絶滅した種と共存する地域社会をどのように構築したらよいかを考えるうえで多くの示唆を与えるもので、世界中の研究者や実務者から反響が寄せられています。
論文名 : Developing a system model for articulating the social-ecological impacts of species reintroduction
著 者 : Ryo Sakurai, Takuro Uehara, Hiroshi Tsunoda, Hiroto Enari, Richard C Stedman, Ayumi Onuma
発表雑誌 : Ecology and Society
掲 載 日 : 2024 年 5月 17 日
U R L :https://doi.org/10.5751/ES-14952-290209