矢藤 優子

RARAアソシエイトフェロー

少子高齢社会における育児支援システムの構築:2016年からの追跡調査と東アジア諸国間の比較研究

少子高齢社会における育児支援システムの構築:2016年からの追跡調査と東アジア諸国間の比較研究

SCROLL

FELLOW PROFILE

2001年大阪大学大学院人間科学研究科 修了。博士(人間科学)。
立命館大学 文学部 准教授、パリ第8大学LUTIN-User lab 客員研究員、ジョージワシントン大学 客員研究員などを経て、2016年立命館大学 総合心理学部 教授(現職)。
2018年京都大学 客員教授。

科学的根拠に基づく子育て支援策の提案から、健やかな社会づくりに貢献したい

子どもの社会性発達のプロセスとそれに関連する要因について解明することを目的とし、大阪府茨木市に在住するお子さんとその養育者を胎児期から継時的に調査する「いばらきコホート」を展開しています。また、「いばらきコホート」によって得られた知見や方法論に基づき、中国・韓国・インドネシアなどの東アジア諸国に発達研究を展開しています。これらの研究によって、科学的根拠に基づく育児・就労支援の社会実装を目指します。

 

近年、少子高齢化や女性の社会参加・核家族化の影響によって育児環境が大きく変化し、養育者、特に母親の育児に対する負担感、育児ストレスが懸念されています。また高齢出産化が進み、妊娠・出産に対する不安も増大する傾向にあります。子どもを取り巻く社会的環境の変化から、子どもの社会性の育ちも問題視されがちです。そこで本研究では、科学的根拠に基づく子育て支援策を提案し、課題の解決を目指しました。

 

この研究活動を通じて、「アジアのゲートウェイ」をコンセプトとする立命館大学大阪いばらきキャンパスにおいて国際社会から広く信頼される世界水準の研究・教育を展開する発達研究拠点を形成し、企業や自治体・市民等の多様なステークホルダーを巻き込んだ持続的な運営が可能な産学官共創システムの構築を実現することを、ビジョンに掲げています。また、東アジア諸国において有効な科学的根拠に基づく育児・就労支援を社会実装することを目指します。

 

研究活動を進めていく上でのロードマップでは、まず、妊娠期からの継続的な発達研究「いばらきコホート」による様々なデータをもとに、子どもの健やかな社会・認知発達に必要な要因を解明します。研究に参加したお子様が2024年には小学生になることから、今後は学校生活状況と物理・社会的環境との関連について調べることを予定しています。そして、「いばらきコホート」遂行によって得られた知見や方法論に基づき、中国・韓国・インドネシアなどの東アジア諸国に発達研究を展開します。

 

本研究を通じて、以下のような分野で寄与できると考えています。
・行政機関に対して:科学的根拠に基づく少子化対策、子育て政策への提案、人種・家族形態・文化の多様性に対応した支援対策の提案。
・教育機関としての大学への貢献:学生、若手研究者への研究活動の機会を提供。また本研究は多くの女性研究者に参画いただいていることから、リーダーシップを発揮しながら社会で活躍するロールモデルを提示。
・企業に対して:養育者の就労と育児の両立を円滑にする製品開発など。

 

―― パートナーシップについて

心理学、教育学、社会学、医学など、子どもにかかわる各研究領域の専門の方々、自治体などの行政機関、NPO法人の方々をはじめ、今後はものつくり企業とのパートナーシップによって、乳幼児・妊産婦のニーズに応じたプロダクツや設備、働く母親を支援するフェムテック開発にも着手したいです。また、アジア諸国を中心とした海外の研究者との共同研究も強化したいです。

 

―― 研究連携で大切にしていること

各国の大学や研究機関と協働していく際には、それぞれの社会文化的背景の多様性に配慮しつつ、お互いが満足できる研究成果をあげられるようにしたいです。また社会実装を重視し、研究にご協力いただいているお子様、ご家族の皆様にも有益な研究知見をわかりやすくフィードバックできることを大切にしたいと思います。

最新の研究活動レポート

紹介写真

NEXTPREVDRAG
/