長谷川 知子

RARAフェロー

気候変動緩和と生物多様性保全の相互作用を解明する

気候変動緩和と生物多様性保全の相互作用を解明する

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FELLOW PROFILE

2011年に京都大学大学院工学研究科にて博士課程修了(博士(工学))。
2011年より国立環境研究所にて日本学術振興会特別研究員(PD)、特別研究員、テーマ型任期付き研究員を経て、2019年より立命館大学 理工学部 環境都市工学科 准教授。
2024年より現職立命館大学 総合科学技術研究機構 教授。
2019~2023年IPCC第6次評価報告書 第3次作業部会の代表執筆者を務める。

気候変動緩和と生物多様性保全の両立に向けた道筋の提示

研究テーマは、気候変動の緩和と生物多様性保全の相互作用の解明と解決策の提示です。気候変動の緩和と生物多様性保全について国際的な目標が掲げられており、これらの達成は国際社会の重要な課題です。気候変動問題と生物多様性問題は、土地や水といった陸域の資源を通じて複雑かつ密接にかかわりあうことから、関連する事象を統合的に考慮して解決策を検討する必要があります。さらに、私たち人間のための食料生産にもこれらの資源を必要とします。そこでの関連する研究分野を横断し、関連事象を統合的に考慮して、両問題の同時解決策を提示することを目指しています。人間にも地球にも健康で持続可能な将来を描き、それを実現するための対策を提案することを考えています。

 

気候変動の緩和と生物多様性保全の両問題は密接に関わることから、一方の対策がもう一方の問題に副次的な影響をもたらしえます。しかし、どのように両問題を解決するか、あるいは、諸対策がもう一方の問題にどう影響するかはまだよくわかっていません。本研究ではシミュレーションモデルを用いて、このような対策による相互作用や影響を解明し、それを考慮したうえで解決策を検討することを目指します。

 

今世紀末には地球人口は100億人程度になると予想されます。100億人の食料需要を満たしながら、生物多様性損失と気候変動のいずれも解決する将来像を提示することを考えています。本研究では、人間社会・生態系・土地にかかわる複数分野のモデルを組み合わせ、地球の人間・社会経済的な側面と物理生物的な現象を一体的に扱う地球環境統合シミュレーションモデルを開発します。これを用いることで、地球環境の2大問題を解決する社会の絵姿とそのとき地球環境はどうような状態になっているかの両方を矛盾なく示せるようになります。この開発は将来2つの分野を超え、より広い地球環境問題の解決に役立つものと期待しています。

 

今後、自分の専門分野については研究の基盤となるモデル開発・分析を継続的に進めつつ、国内外の研究機関・研究者らとの共同研究を通じて、分野を超えた重要な研究課題についても継続的に取り組みたいと考えています。

 

気候変動の緩和およびそれにかかわる地球環境問題の解決に向けたグローバルシナリオ研究として、次世代の大学、社会に寄与できればと思います。

 

―― パートナーシップについて

地球上の陸域での多様かつ複雑な現象を扱う研究領域への発展に向けて、生態学、農学、気候学、水文学などに関わる分野の研究者と手を繋ぎたいと考えています。

 

―― 研究連携で大切にしていること

新しい研究領域に突き進み、世界初を目指す気持ちを共有できればと思います。異なるバックグラウンドでお互いに刺激し、楽しみながら共同研究を行うのが理想的です。

 

 

 

 

 

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