小川 さやか

RARA

マルチモーダルなプラットフォーム
エスノグラフィの構築

マルチモーダルなプラットフォーム
エスノグラフィの構築

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FELLOW PROFILE

2007年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士一貫制課程指導認定退学。博士(地域研究)。
国立民族学博物館研究戦略センター機関研究員、同助教、立命館大学先端総合学術研究科准教授を経て同研究科教授(現職)。
『都市を生きぬくための狡知』(2011年、世界思想社)で第33回サントリー学芸賞、
『チョンキンマンションのボスは知っている』(2019年、春秋社)で第8回河合隼雄学芸賞、第55回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

SNS時代におけるエスノグラフィの存在意義とは何か。 多様な社会の人々の営みや知恵に溢れたエスノグラフィから、未来の社会を構想する

私の研究テーマは、文化人類学が明らかにしてきた人類の営みや知恵と、ICTやIoT、ブロックチェーン、AIなどのテクノロジーによる来るべき社会とを接合して、オルタナティヴな世界の構想に資するために、エスノグラフィの社会的活用を模索する独創的な「プラットフォームエスノグラフィ」を構築することにあります。

 

私が調査しているタンザニアの人々にスマートフォンが普及し、彼ら自身が自らの経験や文化をSNSを通じて世界に発信するようになりました。そのような中で文化人類学者が書いているエスノグラフィの存在論的な意義が改めて問われています。

 

人類学者のエスノグラフィにおけるICTの活用を再検討し、私が調査している人びとを含めた社会の人々との協働を通じた新しいエスノグラフィの方法論と意義を模索したいと思うようになりました。

 

私が目指していることは、マルチモーダルなエスノグラフィを基盤として、異分野の研究者や実務家、被調査者たちが自由に討論したり協働したりし、そこで得たアイデアを実際の社会課題に活用していくプラットフォームをつくることです。それは、多様な社会の人々の営みや知恵に溢れたエスノグラフィから未来の社会を構想するアイデアを引き出し、オルタナティブな社会をともに創造していく場をつくることでもあります。

 

研究の進め方についてですが、1年目にプラットフォームエスノグラフィの理論的・方法論的な課題を析出します。2年目と3年目には、マルチモーダルエスノグラフィのプロトタイプを作成します。そのプロトタイプをプラットフォーム上で公開し、様々な研究者と実践者たちとの討論を行います。4年目と5年目には、プラットフォームでの討論やアイデアを踏まえて現実の社会的課題の解決に応用し、その実践過程をエスノグラフィとして公開するという実践を行います。

 

本研究が寄与できる分野としては、第一義的には人類学や地域研究が考えられます。マルチモーダルエスノグラフィや、ICTを活用したエスノグラフィの新しい方法論はこれから国際的にも注目されていくと思っています。そのため本研究は、人文社会科学の研究者に広く貢献する者だと考えています。エスノグラフィを通じて社会と連携していく方法論は、文系研究者による民間企業へのキャリアパスを切りひらく道にもなると思っています。

 

―― パートナーシップについて
情報理工分野の研究者や、エスノグラフィの方法論を活用したいと考える企業、異なる社会の人々の実践や知恵から社会を構想するアイデアを得たいと考えているソーシャルビジネスの実践者などです。

 

―― 研究連携について
インターネットは偶発的な人との出会いを促進するメディアでもあります。私は、近接する学問分野や同じ地域を対象とする異分野の研究者や実務者だけではなく、プラットフォーム上で偶発的に出会う人々との協働を期待しています。異なる立場性や目的を尊重しながら、対等に関わりあう関係を築いていきたいと思います。

最新の研究活動レポート

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