廣野美和

RARAアソシエイトフェロー

途上国の研究者コミュニティーとともに目指す

「グローバル中国研究拠点」の構築

途上国の研究者コミュニティーとともに目指す

「グローバル中国研究拠点」の構築

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FELLOW PROFILE

2007年 オーストラリア国立大学 国際関係学科 国際関係学 博士課程 修了。博士 (国際関係学)。2019年より立命館大学グローバル教養学部教授(現職)。

ノッティンガム大学(イギリス)で英国理事研究員(2008-15)、ハーバード大学(アメリカ)ケネディースクールでフルブライトフェロー(2018-19)、中国社会科学院で訪問研究員(2003-04)等を歴任。主要作に『一帯一路は何をもたらしたのか:中国問題と投資のジレンマ』(勁草書房、2021年)、China’s Evolving Approach to Peacekeeping (Routledge, 2012) 等。

中国の国際的プレゼンスを途上国の視点から研究する

「グローバル中国研究拠点」をつくる

イデオロギーを中心に、どの考え方が正義でどの考え方が悪、という思い込みが世間を風靡しています。大国中国はその文脈で語られる。そういう議論が先進国の大都市のアナリストによって行われているのと対照的に、世界の大半を占める途上国では、イデオロギーとは別の、現実的な世界(それは自らの暮らしを向上させたり利益を追求したりする)が広がっており、拡大する中国の活動はイデオロギー中心の見方とはかなり違った様相が見られます。このような「人」を中心とした現実の姿を通してこそ本物の中国像がわかるという信念により、この研究テーマを選択しました。

 

女性、難民、貧困層など、途上国の弱者は常に社会のひずみの影響を直に受けます。これらの方々が、自国における中国プレゼンスにどのような影響を受け、どのような改善を望んでいるのか。研究を通して、彼らの声なき声を国際社会で代弁し、国際的な社会変革を巻き起こす研究をしたい。それこそが、中国グローバル研究の意義でもあります。

 

RARAコロキアムやコモンズも十二分に活用、また貢献しながら、当面はグローバル中国研究の代表作といえる研究の礎を築き、今後のグローバル中国研究を前進させる新方法論を開発します。同時に、センターの形成を通して拠点の形成準備を行い、今後20年間で世界屈指のグローバル中国拠点へと成熟させることを目指します。

 

この研究活動を通した社会貢献として、まずはProject-based learning等を通した若手育成を実施します。次世代研究者に対して、国際関係学を肌で学んでもらいながら、途上国出身の次世代研究者と協働して共通する課題解決に取り組んでいきます。その際に、途上国の弱者に焦点をあて、そこに中国のプレゼンスはどのように関わっているのかも加味しながら、現地での研究にこだわります。そしてイデオロギーを排した途上国における現実の中国像に関する知見を企業やNGOに提供していくことにも、この活動を通じて取り組んでいきたいと思っています。

 

―― パートナーシップについて
途上国の弱者コミュニティーを最も重要なパートナーと捉えています。彼らと共に研究を進め、国際的な社会変革を巻き起こす研究を目指します。同様に重要なのは、途上国の研究者コミュニティーとのパートナーシップです。彼らの貴重な知見を研究に反映させると同時に、途上国の若手研究者に対しては、学術経験を積み上げ、共同研究の質を上げるベースアップを行っていきたいと考えています。また、途上国に関心がある企業・NGO・シンクタンクや、中国研究者コミュニティーともパートナーシップを強化していきます。

 

―― 研究連携で大切にしていること
女性・難民・貧困層など、忘れられやすい途上国の弱者を、「研究対象」ではなく「研究パートナー」として捉え、共に政策提言を実施していくことを大切にしています。また、日本における中国研究の豊富な蓄積をふまえながら、海外とのネットワークの強さを活かして、その研究蓄積を国際共同研究に反映させられるように留意しています。

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