堀江 未来

RARAアソシエイトフェロー

「DEI教育」研究の拠点体制構築

「DEI教育」研究の拠点体制構築

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FELLOW PROFILE

1995年名古屋大学大学院教育学研究科博士前期課程修了、2003年ミネソタ大学(アメリカ)博士課程修了、Ph.D.(教育政策行政学)取得。学部時代の中国留学を契機に、異文化体験を通した成長メカニズムの探究を始める。
学位取得後、南山大学、名古屋大学を経て2009年立命館大学国際教育推進機構に着任。
2017年から7年間附属校校長を兼任し、多様な児童生徒の成長の姿に接しながら、初等中等教育におけるDEI 推進に努めた。BRIDGE Institute代表。

個人・学校・社会の変容を促す Diversity, Equity & Inclusion (DEI)教育

本研究では、「社会を構成する人々の多様性を認識し、他者との対話と協働を通じて、あらゆる立場にある人の人権が守られる公正な社会の構築を追究する人を育てる教育」のことを「DEI教育」とおきます。立命館学園の小中高大を縦に繋いだ実践研究を出発点とし、DEI 推進に必要な知識・スキル・姿勢を涵養する教育実践を開発・検証し、国内外での活用を視野に入れた実装化をすすめ、「DEI 教育」研究の拠点体制構築をめざします。

 

私は名古屋大学入学と同時に様々な留学生と出会い交流する中で、強い使命感と情熱をもって日本に学びにきている人々の姿に圧倒されました。その流れで自身も南京大学(中国)に1年間交換留学する機会を得、「目に見えることが全てではない」異文化の学びに開眼するとともに、日本社会では表現できなかった自分を許される経験をとおして「私が私であって良い」場所が世界には存在するということを実感しました。そんな個人的な体験から、「異文化体験から学び成長する」ことの教育的意義を信じ、大学生を対象に実践を積み重ねてきました。その後校長を務めるようになり、さらに幅広い児童・生徒の成長の姿に接する中で、これまでに考えてきたことの汎用性の高さに気づくと同時に、DEI教育の理論的基盤となりうることがわかり、今回の研究テーマの設定に至りました。

 

この研究の目標は、「多文化共修論」を中心とした異文化間教育学を基盤としつつ、小中高の校長職を通じて得られた DEI 教育の実践的知見を統合し、新たな理論的枠組みを構築することです。また、研究チームを多様なメンバー(国内外の研究者・附属校教員・大学院生・企業関係者)で構成し、創造的協働を通じて学術と教育現場の往還と融合を行う研究体制を構築します。究極のビジョンは、児童・生徒・学生の一人ひとりが、自分自身も多様性の一部であることに誇りを持ち、安心してその個性を輝かせることのできる学校・社会の実現です。

 

以下の三点を具体的な研究活動の軸と考えています。

①「DEI 教育」の理論と実践に関する学術書出版

②小中高大の教育現場で活用できる教材・教案とそれらを活用できるDEI 教育ファシリテーター育成プログラムの開発

③「DEI 教育」推進を持続的に行うための研究組織の事業化及び国際研究ネットワークの構築

これらの実現にむけて、理論研究及び実践事例収集分析から着手し、教材開発やファリシテータ育成プログラム開発につなげていきます。また、RARAアソシエイトフェローとして活動する5年間を通して、多文化協働チームとしての研究組織開発を進めるとともに、国際研究ネットワークの構築につなげます。

 

本研究成果として汎用性の高い教育プログラムを開発し普及させることによって、学校現場を主体としたDEI 教育を後押しすることができます。その結果として、社会の公正性と包摂性のために行動できる個人が増え、その個人を取り巻く学校と社会が、一人ひとりのウェルビーイングを高める方向に変容していくことを期待しています。

 

―― パートナーシップについて
上記ビジョンを共有できる研究者・実践者と、校種や職種、言語・文化、年代、経験値の壁を超えて協働の幅を広げていきたいと考えます。とりわけ、各メンバーが安心して参画できる場づくりを尊重し、誰もが対話と協働を通して創造性と生産性を発揮でき、お互いの成長を支援しあえる集団となることを共に目指せる仲間を歓迎します。

 

 

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