高橋 政代
RARAフェロー
次世代の視覚再建
SCROLL
1986年京都大学医学部卒業、1992年同大学大学院医学研究科修了。医学博士。
京都大学医学部附属病院眼科助手、米国カリフォルニア州・ソーク生物学研究所研究員、京都大学医学部附属病院探索医療センター開発部助教授を経て、(独)理化学研究所において、発生・再生科学総合研究センター 網膜再生医療研究チーム チームリーダー、網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダーを歴任。
2019年より(株)ビジョンケア 代表取締役社長(現職)。ビジョンケアグループの事業の一つである網膜再生医療実用化の一環として、2020年に遺伝子治療開発を目的とした株式会社 VC Gene Therapy、2021年には細胞治療開発を目的とした株式会社 VC Cell Therapyの2つの子会社を立ち上げる。
網膜変性疾患による視覚障害に苦しむ人たちに、もう一度光を取り戻す希望を
網膜変性に対する視覚再生を実現するために、iPS細胞から網膜組織を作製し、それを患者網膜に移植する再生医療の実現を目指しています。視覚再生の実現には、移植する網膜組織や手術方法の改良だけでなく、治療後リハビリテーションや新しい検査法など患者側の要因を含む周辺技術の開発、さらには再生医療と共に新しい視機能向上をもたらす技術の開発が必要です。本研究では、視覚の学術基盤を確立し、科学に基づく新しい技術を創出することを目的にしています。
これまで、網膜変性疾患による視覚障害に対し、iPS細胞から分化誘導した網膜組織の移植による視機能回復の臨床応用研究を実施してきました。臨床研究では安全性と有効性を確認し、そこで得られた学術的・臨床知見は高い評価を得ていますが、再生医療の世界的定着には再生組織の高度化・最適化および再生組織の効果を最大化する周辺技術の開発実装が急務であり、各技術の学術基盤の確立が必須であると考えていることから、今回の研究テーマとして取り組むことにしました。
本研究では、世界が享受する先進的医療を創造するための土台作りとして、視覚再建に向けたシーズの創出、シーズ開発早期からの産業化に向けた環境整備、国際的協働の基盤整備を目指す予定です。
我々のビジョンは、日本に限ることなく、すべての患者さんのために、あらゆる解決策を提供することです。
今後の活動に向けては、次世代の視覚再建にむけて研究体制の整備を行います。特に、視覚再建に向けたシーズの創出、シーズ開発早期からの産業化に向けた環境整備、国際的協働の基盤整備を行う予定です。具体的には、再生医療や周辺技術の研究を進め、同時に産業化を視野に、学内の関連学部と連携しシーズの特許申請に備えていきたいと考えています。また、国際的協働に向けては、国際協力機関と合同研究会を開催し、研究・医療・産業化に関する連携体制の礎を築いていきます。
本研究を通じて、産学連携の新しいモデルを創造することにより、視覚研究と網膜医療を円滑に循環させ、世界で享受される先進的医療の提供・実現を目指します。それは次世代社会への発展を導くことであり、あらゆる分野に寄与できると考えています。
――パートナーシップについて
視覚科学に携わる研究者との協働はもちろんのこと、開発した技術の事業化には、特許を含む知財スペシャリストとの連携が必要です。本学発の技術を世界に届けていくために、学内の知財教育担当者と定期的な交流連携のもとで戦略会議・研究活動を推進していきます。
このような取り組みはこれまでの研究室ではほとんど行われていませんが、今後の積極的な研究開発・産学連携にむけて必要な取り組みであると考えています。
――研究連携で大切にしていること
様々な分野の研究者がそれぞれの得意を持ち寄り、視覚再建の実現という同一のビジョンを共有しながらの協働を促進する一方で、参加メンバーが強制されて動くのではなく、やりがいを感じて自発的にプロジェクトに参加できる環境を整えていきたいと考えています。
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