持丸 正明

RARAフェロー

スポーツトレーニングのDXに関する研究

スポーツトレーニングのDXに関する研究

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FELLOW PROFILE

1993年慶應義塾大学大学院博士課程 生体医工学専攻修了。博士(工学)。
同年、工業技術院生命工学工業技術研究所 入所。
2001年、改組により、産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究ラボ 副ラボ長。
2018年より、人間拡張研究センター センター長(現職)。専門は人間工学、バイオメカニクス、サービス工学。
現在、ISO TC 324および PC329国際議長。消費者安全調査委員会・委員長代理。

スポーツトレーニングに、人間拡張技術の新しい風を吹き込む

デジタルデータとスポーツ科学に基づく個人対応のトレーニングプロセスへの変換を目指し、従来のスポーツ科学に先端的人間拡張技術を統合し、アスリート個人の状態や履歴のデジタルデータに応じた効果的なトレーニング介入方法の開発と効果の検証、効果をもたらす生体原理の解明を行っています。実験室レベルでのデータ収集だけでなく、企業と連携したトレーニングサービスによる実社会でのデータ収集を目指しています。

 

スポーツ科学においては、怪我を低減しパフォーマンスを向上させる方法が研究され、トレーニング手法やスポーツ用具に活かされてきました。しかし、アスリートの個人差や履歴に応じた効果的なトレーニング手法の確立には至っていません。そこで、スポーツ科学に、ウェアラブルセンシング、VR、電気刺激、ロボットなどの人間拡張技術とビッグデータ解析技術を統合した個人対応の新たなトレーニングプロセスの開発を行うことにしました。

 

近年のスポーツトレーニングは科学的な基盤に基づいていますが、個人の特性や履歴に応じたトレーニングプロセスにはトレーナーの観察と経験が大きく作用しています。ここに人間拡張技術を投入し、トレーニングプロセスをデジタル記録すると共に、身体のデジタルツインを活用した科学的パーソナライズを実現したいと考えています。

 

今後のロードマップとしては3つの重点課題を設定しています。第一は実験室研究による個人対応トレーニング介入の開発と効果検証、第二はヒト・動物実験によるトレーニング介入効果の原理解明、そして第三はウェアラブルセンシング技術を活用したトレーニングサービスの開発と社会実証です。基礎研究が中心となる第一、第二の課題を当初2年間で実施し、学術成果をまとめていきます。この成果を元に企業と連携し、後半3年で第三課題に取り組んでいきたいと考えています。

 

本研究は、デジタルデータと科学に基づく個人対応のトレーニングプロセスへの変換を目指しており、これをスポーツトレーニングのDXと呼んでいます。これを実現することはトップアスリートに限らず、レクレーショナルアスリートにとっての能力増進、意欲増進につながり、社会の健康増進に資するものになります。また、ビジネスを通じて蓄積されるトレーニングログが、新しいスポーツ科学の基盤をなす知識資産の形成に繋がると考えています。

 

―― パートナーシップについて
ウェアラブルセンシング技術を実用化する繊維・アパレル企業、デバイス企業の他、デジタル化された個別トレーニング支援サービスを担うスポーツ用品企業、フィットネス企業などとの連携を進めていきたいと考えています。さらに、トレーニング効果の実証については、大学や自治体との連携も必要だと考えています。また、製造業がトレーニング支援サービスに乗り出すに当たっては製造業のサービス化を研究する経営学研究者との連携も模索していきたいです。

 

―― 研究連携で大切にしていること
本務である産業技術総合研究所・人間拡張研究センターとは積極的な連携、融合を進めていきます。特に、ウェアラブルセンシング技術や介入技術については、研究センターの成果物を積極活用していきます。その他にも、立命館大学が有する健康・スポーツ科学に関する評価技術、大学内外での実証フィールドを活かして、国内外の大学や研究機関の独創的な介入手法の効果検証や科学的解明で連携を図っていきたいと考えています。

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