金子 健太郎

RARAフェロー

究極の省エネルギーパワーデバイス材料:GeO2の創生

究極の省エネルギーパワーデバイス材料:GeO2の創生

SCROLL

FELLOW PROFILE

2013年京都大学大学院 工学研究科 電子工学専攻 博士課程 修了。博士(工学)。
2014年京都大学 工学研究科 助教、2018年同講師を経て、2022年7月より立命館大学 総合科学技術研究機構 教授(現職)。
大学院在籍時にパワー半導体ベンチャーである株式会社FLOSFIA(2011年)を共同創業(初代CTO)。 そして立命館大学着任後にPATENTIX株式会社(2022年)を共同創業(CTO)。
文部科学大臣若手科学者賞など、これまで23の賞を授与されている。

パワー半導体新材料GeO2(二酸化ゲルマニウム)を実用化し、

世界の省エネルギー化に貢献したい

半導体の歴史の中で新材料の出現は常に大きなパラダイムシフトを伴うものでした。 二酸化ゲルマニウム(GeO2)がもつパワー半導体としての性能はこれまで殆ど知られていませんでしたが、 安価で基板合成が出来る事やp型とn型のキャリアタイプ制御が可能である事、そして巨大なバンドギャップ(4.6 eV)をもつ事から、 産業応用可能な高性能パワー半導体としての重要な要素をバランス良く兼ね備えています。

 

私が学部4回生として研究室に入った時期から、日本の半導体産業の凋落が顕著になりました。 しかしながら、半導体材料開発の分野はまだまだ未発見や未解明の材料が眠っている宝の山です。 私は学生の時に新しいパワー半導体材料のスタートアップを起業し、大学教員かつ共同創業者として研究を進めてきました。 立命館大学では、新たにGeO2という新しいパワー半導体材料を生み出し、基礎研究と産業応用の両面で取り組みたいと思います。

 

新しく生み出したGeO2を社会実装し、世界の省エネルギー化に貢献する事が大きな夢です。 大学での基礎開発から社会実装までの研究開発を行う事で、半導体の研究にはまだまだ面白くて夢のある部分が残っている事を今の若い人たちに示したいです。 また、大学院生の時に半導体ベンチャーを起業し社会実装に至った経験を、後の世代に伝えて行く事も重要な役割だと思っています。

 

新材料の社会実装までの開発研究には非常に多くの人たちの力が必要になります。私のような薄膜合成や物性評価を行う研究者だけでなく、 大型の結晶バルクを作製出来る企業、半導体の実装技術の研究者、得られた知見を特許化して知財を守ってくれる人たち等です。 特に材料の基礎開発から最初の数年間は知財の確保と基礎的な研究開発が大変重要になりますので、そこに重点を置いて進めたいと思います。

 

大袈裟な表現ですが、大学教員が主体となって社会実装までの研究開発を主導する事が可能である事を示せればと思います。 アメリカの大学では大学教員が自分の研究のための会社を所有している事は随分前から当たり前になっていますが、日本ではまだまだ浸透していません。 次世代の(日本の)大学、社会では必ずそれが当たり前になっていると信じていますので、そのロールモデルとなるように頑張ります。

 

―― パートナーシップについて
新しい半導体材料の研究に興味や情熱をもつ、全ての人たちと協力したいと思います。それは研究者や企業、知財の専門家だけでなく、 各省庁の関係者や投資家などです。半導体研究はまさに総力戦ですので、とても重要な点です。 また、日本発の材料ですので、「オールジャパン」体制で取り組み事も大切ですが、研究に国境はありませんので、 新しい人類の英知の共有のために全世界の人々と協力したいと思います。

 

―― 研究連携で大切にしていること
一つの研究室が得られる成果は本当に限られていますので、研究分野や領域が異なる多くの人たちと知見を共有しながら進めたいと思います。 研究や研究者としての多様性を大切にしたいと思います。

最新の研究活動レポート

紹介写真

NEXTPREVDRAG
/