前田 大光

RARAフェロー

革新的電子・光機能マテリアル創製研究拠点の形成

革新的電子・光機能マテリアル創製研究拠点の形成

SCROLL

FELLOW PROFILE

1999年京都大学理学部卒業、2004年京都大学大学院理学研究科修了。博士(理学)。
立命館大学理工学部専任講師・助教授・准教授、薬学部准教授・教授を経て、2016年生命科学部教授(現職)
これまでに分子科学研究所客員助教授・准教授、JSTさきがけ研究者、滋賀医科大客員教授、ストラスブール大学招聘教授を兼任。

「世界を変える」電子・光機能マテリアルの開発

生命活動をはじめとする地球環境におけるさまざまな現象は、すべて原子・分子の適切な配置が基盤となっています。π電子系(炭素間二重結合などを持つ分子)は有機エレクトロニクスへと応用されるなど、電子状態と配列構造によって物質の特徴は決定されることから、革新的な物質創製・集合化戦略の探索によって「世界を変える」電子・光機能マテリアルを開発し、学術・社会の変革、新たな社会共生価値の創出に挑戦します。

 

化学者によって作り出された分子が新しい物性・機能性を発現している事実から、分子骨格の独自性は新規材料の開発において絶対的に優位性が高いことは間違いありません。「原子と原子を結合させる」「分子と分子を集合化させる」、合成化学者は物質の「建築家」としての役割を担いますが、これまでにない「型破りの」物質の創製を通して現在人類が直面する多くの課題を本質的に解決できると信じ、本研究に取り組んでいます。

 

本研究での目標を具体的な数値として提示することは容易ではありませんが、合成化学・超分子科学を通して新しい分子システム(骨格・集合体)を構築し、「分子でこんなことができるのか」と世界が驚愕するような物性・機能性の発現をめざしたいと考えています。

 

研究期間は一貫して、特徴的な特性(光吸収・発光、電子スピン、酸化・還元、不斉、分子認識)を発現するπ電子系を開発し、骨格や周辺置換基を改良して電子・光物性や自己集合化(積層化)能の制御に挑戦します。マテリアル(結晶・ゲル・液晶など)の集合化形態を活かした機能性(電気伝導性・強誘電性・発光特性・磁気特性・力学特性など)の探索をもとに、最終の2年間でこれらを展開してデバイス化・社会実装を検討します。

 

新たな電子・光機能性物質の創製によって、国内外の研究機関・化学系企業との協働を通じてネットワークを構築し、将来世界を先導する機能性材料科学の研究拠点を形成することが実現できます。また、社会実装にあたっては、物質の特性を利用して、持続可能社会・超スマート社会を実現する有機エレクトロニクス開発の事業化を後押しするような、出口を見据えた目的基礎研究に寄与し、次世代の大学、社会に貢献できると考えています。

 

―― パートナーシップについて
これまでに実施しているとおり、国内外研究機関のフロントランナーと強力な共同研究体制を築くことが基本ですが、さらに社会のニーズに対する理解を向上させることもふまえ、化学系企業との将来を見据えた協力関係を築きたいと考えています。また、実生活との関連性が見えにくい研究の内容や重要性を一般の方々にわかりやすく伝える、広報やサイエンスライターの方々との連携も重要と感じています。

 

―― 研究連携で大切にしていること
これまでに多くの学外研究者と協働する形で研究を実施してきました。今後も大きく発展する関係を続けており、改めて考えると、研究に対する考え方が共感できること、相手の考えをできるかぎり理解すること、こちらの意図をわかりやすく伝えること、互いの持ち味や良さを活かす関係を構築すること、を大切にしてきたように思います(メールの返信はできるだけ早くすることも)。

 

 

最新の研究活動レポート

紹介写真

NEXTPREVDRAG
/