野坂秀之

RARAアソシエイトフェロー

任意位相周波数合成による適応ビーム制御技術の研究
~6G時代の「切れない無線」の実現~

任意位相周波数合成による適応ビーム制御技術の研究
~6G時代の「切れない無線」の実現~

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FELLOW PROFILE

1993年慶応義塾大学理工学部卒業、1995年同大学大学院理工学研究科修了。博士(工学)。
日本電信電話株式会社 主幹研究員を経て、2021年より立命館大学理工学部教授(現職)。

6G時代の「切れない無線」を実現、波動工学で人々の生活をより豊かにしたい

2030年頃に実用化が予想される第6世代移動通信システム(6G)に向けて、高速大容量通信を実現するためにミリ波やテラヘルツ波などの高周波数帯の利用が検討されています。この未開拓の周波数を利用するために、波の位相、周波数、振幅を自由自在に制御する革新的なアナログ新回路アーキテクチャの研究に取り組んでいます。

 

これまでにアナログとデジタルの境界技術であるミックストシグナル回路や、超高周波アナログ回路の研究に携わってきました。2020年に第5世代移動通信システム(5G)のサービスが開始され、世界ではすでにその次のシステム(Beyond 5G または 6G)の研究開発が進められています。この分野では日本が世界に先行している研究領域もあり、今後日本が勝っていかなければならない、そして勝っていける研究領域の一つだと信じています。

 

高速大容量通信を実現するために、ミリ波やテラヘルツ波などの高周波数帯の利用が検討されています。高い周波数帯では、電波の回折が減少し、無線セル半径が小さくなるため、無線リンクが途切れやすくなる課題があります。本研究では、位相を制御して狙った方向にビームを形成したり、伝搬環境のより良い波長に切り替えたり、柔軟に波を制御する「波動工学」技術の確立を目指します。

 

今後は、電波のエネルギーを特定の方向に集中させるビームフォーミング技術や、チャネルの伝搬環境を高速にモニタするハンドオーバーの高度化技術など、6Gに向けて競争力のある要素回路技術の確立を目指します。さらに、高速移動体のビームトラッキングなど、上位機能の研究を進めていきます。

 

本研究の適用先は 6G に留まらず、食品分析・病巣分析・危険物探知・レーダーなどのイメージング、宇宙資源探索・気象予報などのセンシング、トリリオンセンサ時代の IoT 通信、ワイヤレス給電にも広がります。新しい回路技術の創出とこれを用いた波動工学により、我々の生活をより豊かにしていきたいと考えています。

 

―― パートナーシップについて
このようなさまざまな応用先や利用先を連携パートナーの皆さまとご一緒に具現化し、独創的かつ創造的な技術を世の中に実装してくことにより、産業の発展に貢献していきたいと考えています。

 

―― 研究連携で大切にしていること
連携にあたっては、それぞれの組織の強みを活かして大きなうねりを生み出すことを大切にしたいと思います。また、異なる土壌の組織の連携による、シナジー効果の発揮に期待したいと思います。

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