丹波 史紀

RARAアソシエイトフェロー

災害など長期避難を余儀なくされた市民の尊厳回復に関わる研究

 

災害など長期避難を余儀なくされた市民の尊厳回復に関わる研究

 

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FELLOW PROFILE

1973年愛知県生まれ。日本福祉大学大学院社会福祉研究科博士後期課程中退。博士(社会福祉学)。福島大学助教授などを経て、2017年4月より立命館大学産業社会学部准教授。2020年教授。
震災から半年経った2011年9月には、原発周辺自治体の約25000世帯の全数調査を行い、長期にわたり避難生活を余儀なくされている住民の生活課題などについて調査した。福島県内の被災地の復興計画策定にも携わった。
専門は、社会政策学・社会福祉学。

災害・紛争・気候変動などのリスクに対する市民のレジリエンス

2011年に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故による広域避難者の実態について、2011年・2017年・2021年の3回にわたり大規模調査(対象約25000世帯)を実施してきました。原子力災害のみならず、紛争・暴力・気候変動・災害などの長期間リスクにさらされた市民が、国外ではなく国内において移動する「国内避難民」(internally displaced persons=IDPs)として国際的課題にもなっています。本研究は、災害など長期避難を余儀なくされた市民の尊厳回復に関わる研究です。

 

原子力災害に関する研究を通して、長期にわたりリスクにさらされた市民の存在は、国際的にも国内避難民として焦点となっており、特に近年災害に起因した国内避難民が増加しています。そのため、災害を含め様々なリスクにさらされた市民がどのように回復していくか(レジリエンス)は、今後の大きな研究課題であると考えました。

 

今後、福島をフィールドにした一連の調査研究をさらに発展させ、長期にわたりリスクにさらされた市民のレジリエンスに関する国際的な研究拠点を形成していくことを目指します。そのために、3つの目標を掲げました。
1. 原子力災害により長期にわたりリスクにさらされた者の尊厳回復に関する研究を推進する。
2. 福島をフィールドにした国際研究拠点形成の一翼を担う。
3.「国内避難民」に関する研究拠点を形成する。

 

そして、RARAアソシエイトフェロー期間内に、以下の取り組みを進めたいと考えています。
・大型研究費の申請を行う。
・学内に原子力災害および「国内避難民」に関する研究所(レジリエンス研究所(仮称))を設置する。
・国際機関や国内避難民に関する関係機関との連携をはかり、国際研究の基盤整備に取り組む。
・国内外の研究者を招聘し国際学会を期間内に開催する。
・これまで築かれた国・自治体・企業などとのネットワークを活かし、福島県における国際研究拠点形成の一翼を担う。

 

災害・紛争・気候変動など様々なリスクにさらされる市民が、その尊厳を回復していく過程を研究することは、平和と民主主義を希求してきた立命館大学において、次世代研究大学において、リスクを抱えた市民の人道支援に関わる国際研究の拠点の一翼を担うことができると考えます。

 

―― パートナーシップについて
国際機関や国内避難民に関する関係機関との連携を今後図っていきたいと考えています。また、この課題に取り組む国内外の研究者ともネットワークを築いていければと思います。

 

―― 研究連携で大切にしていること
研究者だけでなく、国内避難民の当事者など市民レベルでも議論ができるようにして行くことも大事なポイントだと考えています。

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