研究活動レポート / 佐伯 和人

SLIMが月面着陸に成功しました(佐伯和人フェロー)

2024 / 01 / 29

2024 / 01 / 29

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2023年9月7日に打ち上げた小型月着陸実証機(SLIM)が、2024年1月20日午前0時00分(日本標準時)に着陸降下を開始、同0時20分に、月面にピンポイント着陸したことを発表しました。月面着陸に成功したのは、旧ソビエト、アメリカ、中国、インドに続き、5カ国目となります。また、月面へのピンポイント着陸は世界初の成果です。

 

SLIMには月の起源の解明に向け、立命館大学宇宙地球探査研究センター(ESEC)でセンター長をつとめる佐伯和人フェローらが開発した「マルチバンド分光カメラ(Multi-Band Camera:MBC)」が搭載されています。MBCはSLIMの月面着陸後、打上げおよび着陸の衝撃に耐えるためのロック機構を解除し、可動ミラーを動かして、観測対象となる岩石を特定するためのスキャン運用を行いました。257枚の低解像度モノクロ画像を撮像・合成して、景観画像を作製したものが図1です。この景観画像をもとに、観測対象岩石を選別し、相対的な大きさがイメージできるような愛称をつけて、今後、電力が回復した場合、速やかに10バンド高解像度分光観測ができるよう準備を進めています。これまでアポロ計画等で持ち帰られていない新しい種類の月の岩石の観測・分析を試みようとしています。

マルチバンド分光カメ画像像

マルチバンド分光カメ画像像

(図1: SLIM搭載マルチバンド分光カメラ(MBC)による月面スキャン撮像モザイク画像(上)とその拡大図(下) ©JAXA 、立命館大学、会津大学)

 

佐伯和人フェローのコメント

SLIMは降りたいところに降りてくれる探査機ということで、月周回探査機「かぐや」で見つかった月科学上興味深い地域に着陸地点を設定していただきました。そして、まさにその場所にSLIMはMBCを運んでくれました。クレータから飛び散ったたくさんの岩石が落ちているSCAN画像を見て、まさにこの景色が見たかったのだと感激しました。月の起源に迫るデータを取得して、この場所に連れてきてくれたSLIMの恩に報いたいです。

esec

(写真:MBC運用訓練にESECに集まったMBCチーム。上段右から2番目が佐伯フェロー)

 

詳しくはESECおよび本学のウェブサイトをご覧ください。

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