谷口 忠大

RARA

次世代共生社会に向けた実世界人工知能を生む
記号創発システム科学創成

次世代共生社会に向けた実世界人工知能を生む
記号創発システム科学創成

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FELLOW PROFILE

2001年京都大学工学部卒業、2006年同大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。
パナソニック(株)客員総括主幹技師(日本初の学から産のクロスアポイントメント)。
書評ゲーム「ビブリオバトル」発案者。
主な著作に『記号創発ロボティクス』(講談社)、『心を知るための人工知能』(共立出版)、『イラストで学ぶ人工知能概論』(講談社)、『賀茂川コミュニケーション塾』(世界思想社)、『僕とアリスの夏物語 人工知能のその先へ』(岩波書店)等。

人間の知能そのものを理解したい。『記号創発ロボティクス』という新しい研究分野創出への挑戦

人間の知能は実世界における環境との相互作用を通して発達し、言葉を学習し、世界を認識し、行動できるようになります。本研究では実環境においてマルチモーダル情報に基づき発達的に学習し、人間との相互作用を通して記号的知識を共創していく実世界人工知能を創造するとともに、学術融合研究分野である記号創発システム科学を生み出し、その国際拠点を創成していくことを目指します。

 

学生時代、自らの進路や研究テーマを決める頃、若者らしく哲学的な問いに囚われていました。「自分自身という存在は何なんだろうか?」「相手の頭の中を覗けないのにどうして僕らは言葉の意味がわかるようになるのだろうか?」それが知能を理解する――人工知能の研究に繋がり、現在に至ります。その中で大学院での研究を通して見出したのが「記号創発システム」という本質的な概念です。それ以降、二十年近く、その具体化と、研究の推進に取り組んできました。ついに拠点形成までたどり着いたのだと認識しています。

 

研究テーマの実現に向けては、次のようなビジョンを描いています。次世代共生社会に向けた実世界人工知能のための統合的認知アーキテクチャを創成し、この実応用事例としてのサービスロボットを開発し、実生活空間におけるデモンストレーションと産業界への波及を実現すること。記号創発システムに基づく人間とロボットの共創的学習の機械学習技術を新たに創造し、人間と共に言語や概念を生み出し、協調していく実世界人工知能を創成すること。そして、学術融合分野「記号創発システム科学」を創成し、国際的な学術コミュニティを形成するとともに、その概念普及を達成することです。

 

そのために、1-2年度目においては統合的認知アーキテクチャのプロトタイプと、共創的学習を実現する基礎的なアルゴリズムを明らかにしていきます。3-4年度目には実証実験をオンキャンパス及び大阪万博において行います。現在採択されている内閣府ムーンショット型研究開発制度における2つのプロジェクトを核として、次世代共生社会に向けた実世界人工知能のための統合的認知アーキテクチャ創成研究を推進するとともに、科学研究費(基盤研究A)「記号創発システム論に基づく共創的学習の基盤創成」を核として、人間とロボットの共創的学習に関する研究を推進していきます。

 

これから社会において人工知能技術やロボット技術が身近になっていく中で、それらは人間にとっての「意味」を理解して、行動しなければなりません。しかし現在の人工知能にはこの意味理解に困難を抱えています。実世界の経験を通して言語(記号)を理解する知能を生み出すことで、新しい人間と機械の共生社会を生み出していきます。これは言語学や認知科学といった諸領域と問題を共有しており、記号創発システム科学は人工知能やロボティクスのみならずそれらの分野にも貢献していくと考えています。

 

――パートナーシップについて

学術融合研究においては認知科学、言語学、脳科学、哲学といった人間の言語理解や世界認識、コミュニケーションに関わる広範な分野の研究者と手を繋ぎたいと考えています。

 

――研究連携で大切にしていること

人間の言語が持つ意味とは何なのか? 人間はどうやって発達的に環境適応し、実世界のタスクを実現できているのか? それらはどうやって計算論的に表現することが出来るのか? それらを備えたロボットをどのように生み出せるのか? そのような根源的な問いを共有しながら、2020年代の人工知能技術を踏まえた協働を、国内外の研究者とともに果たしていきたいと考えています。

また創造する人工知能やロボティクス技術の産業応用やその課題の認識という意味においては、広く関連する産業界のプレイヤーと連携することを目指しています。

 

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